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オンライン学習についての概要

現代は、ICTが浸透し、人間の生活を良い方向に向かわせるデジタルトランスフォーメーションが進みつつある時代といえます。産業の各分野において最先端のデジタル技術を有益に取り入れようという試みが進んでいます。 これまでは変化のスピードが遅いと言われていた日本の教育界でも、全国でオンライン学習を取り入れる動きが出てきました。教育(エデュケーション)とテクノロジーを融合させた「EdTech(エドテック)」プログラムが次々と開発されたり、子どもたちに一人一台の端末と最適な学習アプリを行き届かせる「GIGAスクール構想」が提唱されたりと、オンライン学習は新時代のスタンダードな教育スタイルであると認識され始めています。

オンライン学習の種類とは

始めに、オンライン学習の種類と特徴について紹介します。基本的には、ビデオ会議システムを使った学習と映像配信システムを使った学習に分かれます。それぞれのシステムで開発が進められているため、興味がある方はぜひご覧ください。

●ビデオ会議方式の特徴

ビデオ会議システムを使ったオンライン学習は、同時双方向型オンライン授業とも言われ、遠隔地での授業をリアルタイムに端末を通して体験できる学習方法です。システムがあれば受けたい授業に参加でき、学校や塾といった設備の枠に捉われず、質の高い専門家による講習にも全国どこからでも参加できるようになります。登壇者に質問を投げて答えをもらうことも可能ですし、チャット機能を使い各地の参加者と情報共有することもできます。

●映像配信型の特徴

映像配信型のオンライン学習は「オンデマンド授業」とも呼ばれ、端末を通して授業の録画映像や学習素材となる配信動画を受講するものです。オンライン学習の特徴である「どこでも」に加えて、「いつでも」取り組むことが出来るのが、映像配信型オンライン学習のメリットである特徴です。オンデマンド授業では、生徒の学習時間や頻度が記録され、学習に参加しているか否かがわかる仕組みも取り入れられています。

●マンツーマン学習型の特徴

オンライン学習によるマンツーマン学習は、ビデオ会議方式でWeb会議ツールを使い、リアルタイムで双方の表情を見ながら教員と生徒が1対1で学習を進めることができます。あらかじめ基礎学習として映像配信型の授業を受けた上で、質問や発展学習のために個別マンツーマン学習の時間を設けるなど、オンライン学習のよいところを組み合わせた授業も展開できます。

●グループ学習型の特徴

オンラインでのグループ学習では、Web会議システムを使い、遠隔地にいる生徒たちが同時にアクセスすることで、対面のような臨場感ある授業に参加できます。また、生徒たちはチャット機能や挙手機能を使い、リアルタイムで質問したり会話をしたりしながら授業を受けることもできます。 ただし、個別のマンツーマン学習と違い、教員側から全員の生徒の学習状況を一度に確認することは難しく、教員の考え方や学習時間の制約とカリキュラム量によって、一方的な授業になる場合もあります。

オンライン学習や授業が注目されるようになった3つの要因

オンライン学習や遠隔授業は、GIGAスクール構想など教育界の新たなスタンダードとなることが予測され、高い注目を集めています。そのように注目される要因となった3つの背景についてご紹介します。

【1】タブレット端末やパソコンの普及率が高まったため

文部科学省は、令和の「教育の情報化」をテーマとした提案書の中で、児童生徒一人一台コンピュータの配備を令和5年度までに小中全学年で実現することを目標としています。ICT教育の機会をより普及させることが急務だと認識され、全国の小中学校で端末の普及率やICT教育の機会はここ数年増え続けていますが、今後も増加することが予想されます。

【2】感染症拡大の影響のため

新型コロナウイルス感染症拡大以降、オンライン学習は緊急事態宣言下でも教育の機会を確保するための主要な手段として、そのニーズが一気に高まったことも事実です。このことから、オンライン学習の有効性と端末の普及率に高い注目が集められ、何度も感染流行の波を越えながら、徐々にオンライン学習環境が整備されてきています。

【3】幅広い教育シーンで活用できるため

オンライン学習は、小学生、中学生といった義務教育の場から、大学・大学院の専門教育、社会人に対する教育サービス、リカレント教育の場など、さまざまな教育シーンでそれぞれの教育スタイルに合った展開が望め、幅広い有効性が期待できる学習方式です。大学や大学院では、オンライン学習と対面授業を組み合わせたハイブリッド型授業も取り入れられています。また、社会人向け教育サービスの場では新型コロナウイルス感染症対策の影響もあり、Zoomを使ったオンラインセミナーが主流となっています。

オンライン学習や授業の教育関連での3つの利用目的と活用例

今後も急速に活用の拡大が予想されているオンライン学習ですが、これまでも教育機関の中では有効活用されてきました。予備校や塾、学校教育の現場、大学・大学院の専門教育の場、それぞれで実際にどのような目的でオンライン学習が活用されてきたかを詳しくご紹介します。

【1】学校教育の場合

最近は、学校教育の場で、オンライン学習やICT授業が本格的に取り入れられ、全国に普及するようになりました。1980年代までは、OA教室設備の完備された学校で限定的に試験的なパソコン学習が行われていました。1990年代頃に、インターネットを使った授業が徐々に普及し始め、教科書プラスアルファの教材としてオンライン学習の教材も取り入れられてきました。 2000年代に入ると、Eラーニングやデジタル教材が広く認知されて、各地でさまざまなオンライン学習が授業の中でも試行されるようになり、その流れを受けて今日の発展を迎えています。

【2】予備校や学習塾の場合

大手予備校や学習塾の中には、首都圏に生徒の数が集中している関係から、地方で暮らす高校生のために「サテライト教室」を開設しました。多数の地域で、首都圏で登壇する人気講師の授業を同時に受けられるようにしたのです。最近では、インターネットに接続できる環境があればどこからでも授業にアクセスできるオンライン予備校やネット塾と呼ばれるクラスも増えています。通学時間も交通費も省けるオンライン学習では、パソコンだけではなくスマートフォンからも受講できます。 人気講師の質の高い授業にいつでも何度でも参加できるタイプのクラスなど、人気の高まりとニーズに合わせて、開講されるクラスのバリエーションも増加しています。

【3】大学や大学院のサテライト校の場合

2000年以降、インターネットの普及に伴い、多くの大学でカリキュラムにオンライン学習が取り入れられるようになりました。最近では、大学の入学時に持ち運びが可能なタブレット端末またはノートパソコンを学習用に購入することが推奨されています。地方に主要キャンパスを持つ大学では、主要都市にもサテライトキャンパスを設けて、どちらのキャンパスからでも授業を受けられる環境を整備しているところもあります。 一方で、社会貢献や教育格差の是正のために、無料のデジタル教材をWeb上で公開する大学も増えており、海外では著名な大学の講義やコンテンツの一部が、全世界に向けて無償配信される試みも始まっています。

オンライン学習や授業の教育関連以外での利用目的と活用例

これまでご紹介したように、オンライン学習はさまざまな面で教育の主流となりつつあります。次に、新型コロナウイルス感染症対策の影響から学校教育を終了後、社会人として参加する教育の場でも、オンライン学習が進められている事例についてご紹介します。

リカレント教育の場合

社会人になり、仕事も生活も忙しい中、大人として学ぶ機会を得ることは容易なことではありません。 しかし、新型コロナウイルス感染症対策のためにオンライン学習のメリットが、社会人向けリカレント教育の場でも広く普及し、オンライン学習コンテンツが増加しました。学びたいことを学ぶ時間がなかなか取れなかった現役世代にとって、大きな利益となっています。趣味の教室から、キャリアアップのため資格取得を目指す学習支援まで、多種多様なセミナー講習がオンラインで提供されています。

社内研修の場合

テレワークが国を挙げて推進され、オフィスも縮小されるなど、働く環境が変化する中、社内研修においてもオンライン学習が取り入れられるようになりました。新型コロナウイルス感染症の流行が収束するまでは集合研修を行うことは難しく、代わりに各社員が自分の好きな時間に必要なコンテンツを学習できるeラーニング研修のニーズが高まっています。 また、旅行やスポーツなど屋外での活動の機会を得ることも難しく、福利厚生の一環としてオンライン学習を取り入れる企業も増えています。

オンライン学習や授業を始めさせる6つのメリット

教育の情報化が促進されるこれからの時代に、子どもによりよいオンライン学習を受けさせたいと考える方も多いでしょう。子どもたちにオンライン学習や授業を受けさせるにあたり、主な6つのメリットをご紹介します。

【1】コストや時間を節約できる

オンライン学習を選択することで得られる大きなメリットの1つが、コストと時間の節約です。スマートフォンやタブレット端末があれば、多種多様なクラスでオンライン学習を進められるでしょう。そのほとんどが通学クラスよりも安い値段で受講できます。視聴回数制限のないクラスでは、何度でも授業を視聴できるのが大きなメリットです。

【2】優秀な指導者の授業を受けられる

オンライン学習のもう1つの大きな利点は、人気講師の質の高い授業が全国どこからでも受講できる点です。オンライン会議システムを使うことで、同時双方向のライブ形式で人数制限なく、優秀な講師の授業に全国各地から参加することも可能です。

【3】場所に影響されない

オンライン学習は場所にしばられることなく受講したり学習を進めたりすることができ、ユビキタス社会の恩恵が得られる学習方法です。さらに、言語に問題がなければ海外の有名大学が無料で公開しているオンライン授業も日本にいながらいつでも学ぶことができます。一部の大学では、オンライン留学プログラムというコースも開講されています。

【4】災害や緊急時にも安心して利用できる

災害や起きた場合や感染症が流行った場合など、学校で勉強ができないという緊急の事態もあるでしょう。しかしどのような状況下においても、オンライン授業の環境が整っていれば、子どもたちは教育の機会が失われることなく、自分に合った形の学習を進めることができます。特に地震大国である日本では、今後も東日本大震災クラスの大きな震災がどの地域で起きてもおかしくないと言われています。それぞれの子どもたちに合ったオンライン学習についてゆとりが持てる今の時期から考え、整備しておくことが重要です。

【5】習い事と両立させやすい

日々、限られた時間を生きなくてはならないのは、大人だけでなく子どもたちも同じです。習い事の種類によっては通学を選択し、塾はオンライン教材での学習にするなど、子どもの負担軽減や理想的な生活の形を考慮しながら、学習計画を立てることができます。

【6】低コストで済む

近年、日本でも大学や大学院の学費に関するニュースが取り上げられています。
インターネット環境さえ整えば、誰でも質の高い教育を低コストで受けることは可能であり、オンライン学習が教育格差の是正に大きく貢献できると期待されています。

オンライン学習や授業を始めさせる4つのデメリット

今後も世界的な発展が見込まれるオンライン学習ですが、デメリットもしっかりと理解した上で取り入れることが重要です。子どもの持つ個性によっては、オンライン学習が馴染めない、自分には合わないといったケースは少なくありません。個性を大切に見極めながら、それぞれに合った学習方法を取り入れましょう。

【1】ICT機器や通信環境性能の影響がある

まず知っておきたいデメリットとして、オンライン学習には、ICT機器の性能や通信環境によっての影響が大きな差として生じるという点です。いつでもどこでも学習ができるというメリットと同時に、通信の影響で障害が起きるという可能性を含んでいます。同じ地域でも通信サービスの事業者が違うことにより提供速度が違ったり、大規模マンションでは居住世帯全体の通信データ量が多くなると通信環境が悪化することもあります。さらに、機器の性能によって、通信機能に急な不具合が生じやすくなるなど、不測の通信障害は誰にとっても起こり得るものでしょう。

【2】子どものモチベーションの維持が大変

オンライン学習は、いつでもどこでも取り組むことができるものですが、その分、自発的に計画性を持って取り組まなくてはならないといった側面もあります。 子どもがオンライン学習に取り組む際は、自分一人で計画を立てて学習を進めることは難しい場合もあるでしょう。また取り組む際のやる気やモチベーションをどのように維持すればよいかが重要になります。いつ勉強してもよいし、いつやめてよいというオンライン特有の自由さは、集中力を減退させ、モチベーションを下げる原因になる可能性があります。 ただ自由に学習を進めればいい、というクラスが合わない場合は、オンラインチューター制度やモチベーション維持に役立つAIツールなど、学習状況に合わせて個別に相談ができるような一緒に計画を進めてくれる学習コーチングプログラムも併せて利用を検討しましょう。

【3】向き不向きがある

計画性やモチベーション維持など、オンライン学習を進める上では学習者の「自発性」が重要になります。 デジタル環境に長時間向き合わなくてはならないため、子どもによっては、オンライン学習を続けることが難しいこともあるでしょう。その際に、子どもの気持ちや体調を考えずに「しっかりしなさい、ちゃんと進めなさい」と一方的に注意すると、オンライン学習から離れたくなってしまう可能性があります。 個性によってはオンライン学習に向き不向きがあることを理解した上で、子どもの個性や気持ちを尊重し、よりよい学習の形を一緒に考えて行くことが重要です。 子どもが反抗期に入っている場合は、オンライン学習コーチングサービスなど、第3者の意見を上手に取り入れながら、その子に合った学習の形を見つけましょう。

【4】目の疲れやストレスなどの心配がある

子どもたちが夢中になってオンライン学習に取り組み続けている内に、身体に負担がかかり、思わぬストレスや目の疲れなどが生じることも懸念されます。オンライン学習に取り組む子どもたちには、定期的にリラックスして心身を解す時間を取ることができるように、配慮を持って接することも大切です。

オンライン学習や授業を始めさせる際の4つのポイント

新しい教育のスタンダードとなったオンライン学習やオンライン授業ですが、子どもに実際にその取り組みを始めさせるためには、具体的にどのような準備が必要でしょうか。通信環境、端末の準備、Webカメラやマイク、保管庫の4つのポイントからご紹介します。

【1】インターネット環境の構築を行う

インターネット環境の構築については、通信会社が各社さまざまなデータプランを設け、新たなプランも定期的に更新され続けています。映像を使った教材がメインになることも多いオンライン学習の通信環境については、LAN回線や光回線、ケーブルテレビなど、安定した通信契約が結ばれていれば問題はありません。ただし、中には初期費用は格安でも、使用量に応じて加算される料金プランもあるため、予想より高額な通信料になっていたという事態には注意しましょう。

【2】インターネット接続ができる端末を準備する

インターネットに接続する端末には、パソコンやタブレット、スマートフォンなどがあります。 大学や大学院などでは、フィールドワークや学校内外の研究活動に使用することも想定されるため、持ち運びがしやすいノートパソコンを学習用端末として勧められることが多いでしょう。また、オンライン授業によっては、受講端末に求められる性能が少し高くなる場合もあります。学習用端末は、学校や教育機関で貸し出しを行っているケースも多く、どのような端末を購入すべきか迷った際は、教務課や学校職員、塾の相談窓口で相談をしてから決めるようにしましょう。

【3】Webカメラとマイクを準備する

オンライン授業に参加する際に必要なパソコン周辺機器にWebカメラとマイクがあります。
最新のノートパソコンには、Webカメラとマイクを搭載しているものが多く、タブレット端末でもほとんどの機種でWebカメラとマイクが内蔵されています。カメラの搭載がないノートパソコンの場合は、マイクも内蔵されている小型の置型Webカメラを付けるとよいでしょう。またマイクについては、パソコンに付属のものではなくイヤホンマイクを使うと音声が聞き取りやすいです。

【4】タブレット保管庫があると便利

オンライン学習に使うパソコンやタブレットについては、家庭の中でも、専用の保管庫や保管場所をきちんと設けて管理することも大切です。特に、保護者がテレワークし、兄弟姉妹でオンライン授業を受けている家庭では、パソコン専用の保管庫を設置し、湿度を管理して安全に端末を管理しているというケースもあります。 保管庫を設けない場合でも、子ども専用のパソコンケースを使って、日頃から管理を大切にする習慣をつけておくことをおすすめします。

オンライン学習はメリットや注意点を理解して始めよう

今後ますます注目されることが予測されるオンライン学習のメリットやデメリット、学校教育現場での具体的な取り組みについても理解した上で、安心して子どもたちが学習に取り組めるように準備しましょう。また、子ども一人ひとりの個性を理解し、押し付けるのではなく向き不向きを見極めた上で、心身の健康にも十分に留意しながら取り組むようにしてください。 その体験は、社会人になってからキャリアを積む上でも有益なスキルとなるでしょう。

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